ロバート・キャパは、20世紀最大の戦争写真家の一人として、誰もが知っている。

しかし、この名前は偽名に過ぎず、ファシズム、戦争、不平等によって疲弊した社会で勝利を収め、良心を目覚めさせたいという願望を隠すための「偽装」であった。

では、ロバート・キャパの神話の背景には誰がいて、彼は写真を通して何を伝えようとしたのか。

ロバート・キャパの最も象徴的な写真に触れ、戦争フォトジャーナリズムの天才の大きな謎に迫ってみよう。

スペイン内戦：神話の揺りかご

ロバート・キャパは、男女の2つの名前を隠していた。エンドレ・エルノー・フリードマンとゲルダ・タローは、スペイン内戦中にこの別名を作り、生涯を通じて写真に署名していた。

戦争が一般市民に与える影響をすべて見せたいという貪欲な精神は、他の人たちと同じように、死を覚悟して何度も命がけで撮影した。

彼らは写真を世界共通語として、戦争の裏側、つまり紛争が最も弱い人々に及ぼす影響を世界に示したのです。

残念ながら、この神話が生まれた場所こそが、神話を崩壊させる原因となった。若き日のゲルダ・タローは内戦に巻き込まれ、ロバート・キャパの一部を携えて最前線で命を落とした。

スペイン内戦では、キャパは戦場に立ち、さまざまな都市で爆撃の恐怖を目撃し、国境の外に避難した人々に同行した。

戦場にて

ロバート・キャパによる写真「Death of a militiaman」。

ロバート・キャパ（ゲルダとエンドレ）の任務のひとつに、共和国側から戦争を取材することがあった。

戦後80年以上たった今でも、「民兵の死」は、モンタージュか否かを疑う専門家たちと対峙しているのだ。

戦場で銃弾に遮られ消えていく兵士の姿が描かれています。

写真の被写体は、無を象徴する広大な穀物畑に落ちていく数字のひとつに過ぎず、「自然」の光が降り注ぎ、死を迎えるかのように影を残す、意気消沈した身体である。

爆弾の間の飛行

戦時中、ロバート・キャパは戦闘員となり、空襲を目撃、参加し、紛争の悲惨さを世界に知らしめた。

代表的な写真に、空襲で爆弾をかわす人々を描いたものがあるが、怯えやブレが目立ち、その場の動揺が伝わってきて、見る者に飛翔感を与える。

一般的には、警報音で安全な場所に逃げるよう警告されたときの住民の恐怖と絶え間ない緊張を描いたニュース映画映像です。

シェルターを求めて

ロバート・キャパが撮影した、南北戦争中の難民の写真。

キャパは、かつて誰も撮ったことのない難民のオデッセイを捉えた。 過去に留まることのない被写体。 もし彼がレンズを通して今の世界を見せられるなら、絶望も見せるだろう。 なぜなら彼の撮った難民は、時間的には遠くても、これまでになく身近に感じられるから。

彼は、紛争の最も悲しい顔の一つである、主人公の顔に苦悩と絶望が見える写真をさらけ出すことで、見る人の心に届きたいと考えた。

戦争から戦争へ

ロバート・キャパが撮影したD-Dayの写真群。

写真がイマイチだとしたら、それは近づかなかったからです。

この言葉は、キャパの戦場カメラマンとしてのプロ意識を再確認させるとともに、戦場の "底 "から撮影された「マグニフィセント11」と呼ばれる写真シリーズを見事に定義しています。

スペイン内戦後、ロバート・キャパのペンネームで第二次世界大戦を取材したエンドレ・エルヌー・フリードマンは、1944年6月6日にノルマンディーの海岸で行われた、いわゆるDデーの雄姿を後世に残しています。

その映像は、不完全なフレーミングや手ぶれで恐怖を表現しているが、それでも、ぐったりした死体の横で、兵士や破壊された船が水に浮かんでいるバランスのとれた写真である。

Dデイ後、ロバート・キャパは48時間「公式に」死亡していたが、その間、彼は虐殺を生き延びられなかったと信じられていた。

叶えられた」夢

キャパはかつて、自分の最大の望みのひとつが「失業中の戦争写真家になること」だと告白している。

第二次世界大戦が終わり、平和な時代を経て、1947年、他の写真家たちとともに、有名な写真事務所「マグナム・フォト」を設立。 この間、彼の写真の主題は、戦争と芸術の世界を交互に取り上げてきた。

1948年から1950年にかけて、イスラエルの独立戦争とそれに伴う移民の波、難民キャンプを記録し、作家のアーウィン・ショーとともに、ロバートが写真、アーウィンが文章を担当した『イスラエル報告』を作成した。

そして、1954年、写真家として最後の体験となるインドシナ戦争を記録する。

1954年5月25日、エンドレ・フリードマンは地雷で死亡し、ロバート・キャパの神話は彼と共に旅立ち、光の中で語られる何千もの物語という遺産を残した。

ロバート・キャパのバイオグラフィー

Endre Ernõ FriedmannとGerda Taroは、Robert Capaの芸名で隠れていました。

1913年10月22日、ハンガリーで生まれたユダヤ系のエンドレは、10代の頃から写真に興味を持ち始める。

1929年、自国の政治情勢から、ファシスト政権に反対するデモに参加した際に捕まり、移住することになった。 最初はベルリン、後にパリに逃れ、記者として仕事を得て、レオン・トロツキーに関する盗撮レポートを作成。 パリの人民戦線の動員取材も担当することになる。

1932年、1910年にドイツでユダヤ人の家庭に生まれた戦場カメラマンでジャーナリストのゲルダ・ポホリル、通称ゲルダ・タローと出会い、ナチスの政権誕生を機にパリに移住することを決意する。

やがて、エンドレとゲルダは感傷的な関係になり、写真家としての生活だけでは足りないということで、ロバート・キャパという偽名で写真を販売するブランドを立ち上げることにした。 ゲルダが担当したのは、アメリカの富豪と言われる写真家ロバート・キャパの代理人。

スペイン内戦が勃発すると、2人ともスペインに渡って取材し、ロバート・キャパと名乗ったため、どの写真が誰のものかを見分けることが難しくなった。

1937年7月26日、ゲルダは仕事中に戦場で亡くなり、エンドレは1954年5月に亡くなるその日まで、ロバート・キャパのブランドで仕事を続けていた。